今週の「水曜朝礼」は
森英人教頭先生よりお話がありました。
昨日、午後4時頃、学校にみえたお客さんから「生徒さんの挨拶が素晴らしいですね」と言われました。そのお客さんは3人で、いろいろな学校をよく知って いる方々ですが、初めて来校されたその日に好印象を持っていただいたようです。このことで、4月の始業式に話した「横浜一の学校にしよう!」という言葉が 現実のものになってきました。一歩も二歩も、横浜一の「挨拶ができる学校」に近付いていると思います。
実際、この2ヶ月間で、挨拶のできる生徒がどんどん増えている気がします。生徒から先生、先生から生徒への挨拶があり、お互いに時には返すタイミングを はずすこともあるでしょう。挨拶をしてくれない先生がいるということを嘆く生徒もいますが、生徒の方から積極的に挨拶をしてほしいと思います。逆の立場に なったときに、挨拶を返すことの大切さもわかるはずです。元気に挨拶をすることが、自信につながり、いろいろな成功につながるのです。
さて、今日一番話したいことは、数学の話です。今、高2・高3の数学を担当していますが、少人数なので、かねてより全校生徒に話したいと思っていました。それは、「何のために数学をやるのか?」についてです。
きっと、数学が苦手な人や嫌いな人は、「数学なんかやっても仕方がない」「何のために数学をやるのかわからない」ということを理由に挙げるでしょう。お 父さんやお母さんの中にも、子供には勉強してほしいと思いつつも数学の必要性についてはあまり感じてない方もいらっしゃるようです。実際よく耳にするの が、日常生活には足し算・引き算・掛け算そして割り算さえできれば十分だという会話です。生徒のみなさんも、三角関数や指数・対数、微分・積分、方程式、 グラフ、図形なんかやっても仕方がないと、心の中で思っていることでしょう。
先月、高2のガイダンスで「目に見えないものほど尊い」という話をしました。日本の歴史の中でも、江戸・明治・大正・昭和・平成と時代とともに世の中が発展してきました。
先日も山崎さんという女性宇宙飛行士が宇宙に行き、無事生還しました。人の命を乗せたロケットが宇宙に飛び、無事戻ってくるという偉業を成し遂げるには相 当緻密な計算が必要になります。数学がなければ、ロケットは宇宙には飛ばないし、世の中の発展だけでなく安全や安心も得られなかったはずです。このよう に、数学は目に見えない部分で世の中に貢献してきました。
それにしても、数学の教員になりたい人や理系に進む人たちが数学をやるのはわかると思いますが、なぜ全員が数学を学ぶのでしょう。それは、数学が「考える 訓練」になるからです。大学入試でも、難しいと言われてる大学ほど文系にも数学を課します。例えば、将来裁判官や弁護士を目指す人の多い法学部などは、ど のように物事を解決したらよいかを考える力が必要になります。感情でものを言うのではなく、きちんと筋道を立てて話さなければなりません。それを鍛えるの が数学です。ただ、一つの分野だけで6年間やり続けるのは苦痛でしょうから、題材がいろいろ変わる中で思考力をつける訓練をしていってほしいと思います。
最後に、感情を爆発させるのが芸術だとすれば、数学はその対極にあるかもしれません。ところが、その芸術の中にも数学は潜んでいます。例えば、名刺やコ ミック本の縦横の比には特徴があります。とてもバランスがよく、いろいろな物に使われている比ですが、何というでしょう?……そうです「黄金比」です。芸 術の世界では、ミロのビーナスの臍から上の長さと下の長さが黄金比になっていて、とても美しい姿になっています。パルテノン神殿などの建造物にも現れてい る比です。3年前に森永乳業とナムコが共同開発した「黄金比率プリン」は、卵黄と生クリームの割合が黄金比になっています。今夜は、プリンを食べながらこ の話を思い出して下さい。