イベント

水曜朝礼

DATE : 2010/7/9
日程:2010年07月07日(水)

今週の「水曜朝礼」は
 中学3年A組担任の高橋秀明先生と
 高校3年C組担任の伊藤隆先生よりお話がありました。

-高橋秀明先生-

 おはようございます。本日は七夕であります。
しかし、今日私がお話するのは七夕ではなく、ある高等学校の野球部のお話です。
 その学校は戦前から強い、いわゆる「強豪校」としてその名を全国に轟かせていました。しかし、ある時点からなぜかその力に陰りが出てきてしまいました。 その学校関係者達はあわてました。びっくりしました。そして対策を考え始めました。そして、心気一転。ある監督が新しく就任しました。伝統ある長い歴史を 持つその部活動。良いものは良いとそのまま残し、しかしながら、その監督はそれまでの改善すべき点を少しずつ改善していきました。そして、何年か経ったあ と、その学校は見事再生し、全国大会で好成績を出すようになりました。
 ここで私がみなさんに伝えたいのは、この高校球児達のその後の事です。
 その監督のインタビューをたまたま読んだところ、次のようなことが書いてありました。
 新聞記者は次のように聞きました。「甲子園に出場した選手達は、その後の人生は有望でしょうね。甲子園に行けなかった選手達はかわいそうですね。」
 監督は次のように答えました。「いやいや、甲子園に出られなかった代の生徒達も十分社会に出て活躍していますよ。」記者は不思議に思いました。甲子園で 活躍した生徒の中には、その後、大学野球、果てはプロ野球で活躍した生徒もいたからです。「確かに甲子園出場が高校球児の目標です。そのために彼らは血の にじむ努力を3年間努力しているから。そして、甲子園に出場した生徒達は確かに素晴らしいです。しかし、その血のにじむような努力をした上で、甲子園に行 けなかった。そんな生徒達もいます。彼らはずっと口惜しい思いをしたまま卒業します。そして、その思いを持って実社会に出ると、その子のほうが人一倍努力 します。二度と口惜しい思いをしたくないので、本当に努力します。」
 みなさん、通常の学校生活では、勉強、委員会、部活動等様々に頑張っていると思います。明日から期末試験です。勉強を頑張る時です。勉強の分野での「甲 子園」を目指してください。一生懸命勉強してください。しかし、もしかして、一生懸命努力して、自分の期待と相反する結果になったとしても心配しないでく ださい。そんなあなたにはこれから、伸びてゆく基礎が十分にできているはずですから。頑張ってください。

-伊藤隆先生-

 おはようございます。
今朝は、先日放映されたテレビ番組についての話から始めたいと思います。日曜日の朝に課外授業という番組があります。これは社会の第一線で活躍している人 が、自分の母校を訪ねて特別授業を行うという番組です。この番組に、先日、プロのテニスプレイヤーの杉山愛さんが出演していました。私は、彼女が現役の 頃、ファンたっだこともあり、その日の番組を最後まで見ることになりました。すると彼女は、授業の最後に、生徒たちに贈る言葉として自分の座右の銘を紹介 していました。彼女の座右の銘は「遊戯三昧」(ゆげざんまい)という言葉だそうです。「ゆげ」は「遊び」という字に「戯れる」と書きます。「ざんまい」は 贅沢三昧という時の「三昧」という字で、あることに専念すること、没頭することを意味します。文字だけ追っていくと、遊び戯れることに没頭するのですか ら、「遊びまくる」という意味になってしまいそうなのですが、彼女の考える遊戯三昧というのはそういうことではありません。彼女の遊戯三昧とは、「好きな ことする」とういのではなく、「することを好きになる」という意味なのだそうです。「好きなことをする」というのは裏を返せば、「嫌いなことはしない」あ るいは「嫌いなことは渋々する」または「仕方がないからする」となってしまいます。そのような姿勢で行う努力は長続きしないし、実を結ばないというので す。彼女は、このことを自分の体験に基づいて話をします。彼女は世界の大会でも、数々の優秀な成績を収めてきたのですが、年齢と共に体力が落ちてくると、 なかなか勝てなくなってしまったのだそうです。そうすると勝つためには今まで以上のトレーニングをしなければならない。それが自分に課した義務のようにな ると、トレーニングがますます辛くなり、ますます勝てなくなってしまったのだそうです。その時、人から「遊戯三昧」という言葉のを教えてもらい、自分のテ ニスに対する考え方を見直したのだそうです。
 私たちは、「することを好きになれ」と言われてすぐにそれが実践できる訳ではありませんが、このことは勉強にも通じることのような気がします。私たち は、勉強をする時、よく目的からその意味を考えます。「この勉強をするとどんないいことがあるのだろう」「この勉強は何の役に立つのだろう」、そういった ことです。これは、目的さえしっかりしていれば必ずしも悪いことではありませんが、時に目的を見失うと、勉強自体がつまらなくなる恐れがあります。日本の ような高度に文明の進んだ社会では、社会に役立つ知識や技能を身につけるにはかなり長い年月を必要とします。つまり、インプットとアウトプットの時間の幅 が長い。ある努力に対して、その結果が現れてくるのは何年も先のことなのです。そして、昨日も新聞に載っていましたが、大学生の就職浪人が77.000人 もいる等というニュースを耳にするとますます不安にさいなまれ、勉強の意味が見えなくなったりする可能性もある。でも、心配してもどうにもならないこと は、心配してもしょうがないのです。私たちは目の前にやるべきことを抱えていて、それをやることが好きになること、それが大事なのです。どんなことでも自 分のやることが好きになれば、そこからまた新しい世界が見えてくるのではないでしょうか。
 ともあれ、今日は期末試験の前日で皆さんの目の前にはたくさん課題があります。その課題に全力で取り組んで、よい成果が上げられるように期待しています。