先週の「水曜朝礼」は
中学1年副担任の清水先生よりお話がありました。
今日は寒い中ですが、私の経験から皆さんに伝えたいなと思ったことを少しお話したいと思います。
私には自分の中で大切にし続けているある言葉があります。ある言葉とは「慎重敢為」という言葉です。この言葉は皆さんにとっての「謝恩礼節」「自立実践」にあたるもの、つまり私にとっての母校の校訓です。「慎重」は、注意深く軽々しく行動しない様子を表す「慎重」と書き、「敢為」の「敢」は勇猛果敢の「敢」、「敢為」の「為」は行為の「為」と書きます。「敢」という字は、圧迫や気兼ねをはねのけて思い切ってするという意味を持っているので、「敢為」とは思い切って物事を為すという意味になります。したがって「慎重自ら持し敢為事に当る(慎重敢為)」、この言葉は「物事には思慮検討を重ね慎重にあたり、必要なときには思い切って行動すべきである」という意味を持っています。私は今でもこの言葉を意識して行動するよう心がけています。これは私の経験をお話する際に関係してくる言葉なので、ここで紹介させてもらいました。
さて、私が今日皆さんにすすめたいことは、何事にも積極的に挑戦することです。何事にもとは、自分のしてみたいことはもちろん、してみたいけれど不安に思うこと、苦手なこと嫌なことなどすべてを含めたものに挑戦するということです。
私の体験をお話しますが、私は自分の中学校時代と高校時代のどちらが充実していたかと問われると、迷うことなく中学校時代と答えます。高校時代ももちろん私にとって様々な思い出がある大事な時間でしたが、心から充実していたと言えるのは中学校で過ごした時間です。それはなぜかというと高校時代のある後悔が一つの原因です。
私は特に中学生の時、何か物事に取り組むときなどは「行動せずに後悔するより、行動してから後悔する」を座右の銘とし様々なことに取り組むよう励んでいました。場合によっては迷いや不安から挑戦しない方が楽なのではないか、自分のためなのではないかと考えることもありましたが、その度にこの言葉を思い起こしとにかく行動しようと決断していました。その結果、恩師や家族、まわりの友人から様々な機会を頂けたこともあり、生徒会執行部や部活動の部長を務めさせてもらったり、新聞の記事を書かせてもらったり、イギリスへの研修旅行に参加させてもらったり、様々な体験を通して大変充実した日々を過ごすことができました。しかし、挑戦したからといってもちろんすべてがうまくいくわけではなく、結果につながらないこともありました。その中でも私の記憶に強く残っているのは、体育大会で団の副団長に立候補したことです。多分選ばれないだろうということは自分でもわかっていての立候補でしたが、立候補せずに後でしておけばよかったとずっと後悔することだけは嫌だという思いから行動しました。選ばれなかったという結果をまわりに知られるのは嬉しいことではありませんが、挑戦した上での結果なので納得することができました。今でもあの時立候補していて良かったなと心の底から思うことができています。
この体験とは反対に、今でも私の中に残る高校時代のある後悔とは、部活動に入らなかったことです。当時の私は自分なりにいろいろ考えた末に、部活動に入らないことを決めました。理由はいくつかありましたが、高校生になり先を見据えなければいけない大人になるのだから、我慢すべきこともあると考えたのが一つの理由です。今思うとこの考え、決断は間違ったものだったとわかるのですが、当時は中学校で好きなだけ様々なことに取り組んだのだから、高校は勉強を頑張ろうと考えたのです。部活動に入れば得られるはずだった機会や、もっと広げられたであろう人間関係を思うともったいなかったなと思います。
では、中学・高校を振りかえり一番効率的に勉強に取り組めたのはいつであったかというと、それは中学校で一番充実していた時期であったように思います。21時を過ぎてから帰る日が続くこともありましたが、限られた時間をどう有効に使うか考え行動せざるを得ないことで時間の使い方を学びました。また一方に熱心に取り組むことで、他方を疎かにすることがあってはいけないという自分へのプレッシャーや良い意味での緊張感が常にあったことも関係していたと思います。高校のときは時間は多くありましたが、その時間をすべて活かしきれてはいませんでした。自分が忙しいとき、複数のことに取り組んでいる時こそ、良い結果が出たり成長したりできることが多くありました。
高校で部活に入らないと決めたときの私は、「慎重敢為」の慎重に考える方にばかり気を取られてしまっていたのだと今は思います。後悔として残ってはいますが、そのおかげで大学では怖くても不安でもどんなに忙しくなろうとも様々なことに挑戦できたので、悪い事ばかりでもありませんでした。本校には皆さんも知っているように、学業と課外活動を両立させる「あえて二兎を追う」という方針がありますね。「あえて二兎を追う」ことで得られるものは多くありますし、一兎だけを追うよりも双方において良い結果が出るものだと私は自分の経験から考えています。もちろん何でもかんでもむやみに挑戦すれば良い訳ではないので、自分でよく考えた上で思い切って挑戦してみてください。慎重さも行動力もどちらかに偏らせ過ぎず、積極的に物事にあたってください。皆さんには、これからの学生生活を後悔のないよう有意義に過ごしてほしいと思います。