10月30日(水)、シンガポール・マレーシア研修旅行2日目。
日本との時差が1時間のため、1日25時間を過ごした翌日の午前5時30分起床は、相当厳しいかと思いきや、ほとんどの生徒がルームメイトとともにホテル2階の朝食会場「Asian Market Café」に集合することができました。入口で教員のチェックを受けると、各自でテーブルに着席。ビュッフェ形式で様々なアジア料理を選んでいきます。日本で日頃食べていた料理でも、素材や味付けが変わると別の料理のように感じ、朝から新鮮な驚きがありました。
この日は、シンガポールを離れてマレーシア工科大学(UTM: Universiti Teknologi Malaysia)を訪問します。UTM学生との交流に備え、昨日に引き続き全員が制服で臨んでいます。
午前8時頃にピークを迎えるというラッシュアワーを避けるため、朝食後は部屋に戻らずにそのまま7時30分にクラスごとにバスに乗り込みます。出入国審査のためのパスポートを忘れていないことを確認したら、いよいよ出発!快晴のシンガポールを順調に進んでいきます。
車内で現地ガイドからマレー語(挨拶、日常生活の単語)の講習を受けていると、あっという間にウッドランズCIQ(Customs, Immigration, Quarantine)に到着。手続きを完了し、8時20分にシンガポールを出国しました。道路標識が英語からマレー語に変わったのを見て、国境越えを実感します。
さらにバスで10分ほど進むと、マレーシア入国のためのジョホールCIQに到着。入国審査ゲートが自動化されたことで、職員とのやりとりや入国スタンプの押印がなくなったとは言え、シンガポールを出国した時とは比べものにならない緊張感が漂っています。どうやら全員のMDACが無事に申請されていたようで、問題なく8時40分にマレーシアへの入国を完了しました。
入国審査ゲートを通過した先で、マレーシアのガイドと合流。シンガポールの街並みとはがらりと変わったジョホールバルの景色を見ながら、ガイドによるマレーシアの礼儀作法・教育制度の説明を聞きました。夏休み課題の必修テキストとして、『物語シンガポールの歴史―エリート開発主義国家の200年』(中公新書)を読み、マレーシアの社会情勢も一応勉強してきたつもりでいましたが、ここに来て初めて知ることも多く、事前学習の甘さを痛感させられました。
陸路でマレーシアに入国できた感動と、UTMでの交流に不安を抱きつつ、10時前に広大なキャンパスに到着しました。シンガポール同様、非常に湿度の高い蒸し暑さに、どこか日本の夏の懐かしさを感じながら、交流会場へと歩いて進んでいきます。
マレーシアの伝統衣装と、アロハシャツに似た落ち着いた服装で手厚いもてなしを受け、アイスブレイクで自己紹介を済ませた頃には、もうすっかりUTM学生と打ち解けてしまいました。初対面の相手とのオールイングリッシュの会話で相当な緊張があったと思いますが、生徒の適応力にはいつも驚かされます。
両校の教員、学生・生徒の代表者によるスピーチの後、記念品交換を終えると、有志学生・生徒による出し物が披露されました。UTM学生からは、マレーシアの伝統舞踊。短剣を使用した演舞の最中には、文字通り火花を散らす場面も見られ、生徒から歓声が上がっていました。本校生徒の出し物は、渡航前に練習したソーラン節。中間考査や部活動で、全員揃って練習する時間が限られていましたが、素晴らしい踊りを見せてくれました。これにはUTM学生も感化されたようで、急遽、アンコールでUTM学生も飛び入り参加することに!本校生徒を前列にして、大人数のド派手なソーラン節となりました。
その後、各班(5~6人)に分かれて「ディスカッション」が始まりました。ディスカッションとは言っても、特に形式ばったものではなく、グループによっては、マレーシアのゲームをしたり、伝統衣装の試着をしたりして、1時間の交流機会を存分に楽しみました。
グループに1人ついてくれたUTM学生は、その後のキャンパスツアーにも同行します。鮮やかな建築様式のキャンパスを巡るなか、日本から輸入したと思われる、日本語表記そのままの自動販売機に興奮しました。
長時間歩いたような気がしますが、今回見られたのはキャンパスのごく一部です。最後に、UTMのモニュメントが置かれた芝生の坂道で、クラスごとに集合写真を撮りました。続く昼食に向かうため、本当は早くバスに乗らなければならないのですが、どのグループもUTM学生との別れを惜しみ、いつまでも連絡先の交換などで話し込んでいる様子が印象的でした。
やはり昼食会場(Senibong Bay Seafood)には予定より遅れて到着することになりましたが、それでも十分にコース料理を味わう余裕がありました。レストランの名前の通り、海鮮中心の料理をターンテーブルを囲んで楽しみました。少し外に出てみると、目の前に釣り堀があり、その先の対岸にはシンガポールの摩天楼が見えます。あらためて、2国間の地理的な近さ、文化的な相違点を意識した瞬間でした。
十分に休憩したところで、次はマレー文化村へ。ここでは、マレーシアの伝統工芸バティック染め(ろうけつ染め)を体験しました。既に下書きが施された生地に絵の具を垂らしていきます。特に詳しい説明のないまま始まったバティック染めでしたが、各自でグラデーションをつけたり、水玉模様でアレンジしたりして、とても初めてとは思えない出来栄えです。強烈な日差しのおかげで、民族舞踊を鑑賞している間に、作成したバティック染めがあっという間に干し上がってしまいました。その民族舞踊では、踊り手に誘われて、生徒もステージに上がってバンブーダンスに参加する場面もありました。
これでこの日の(長い)前半の活動は終了。次のナイトサファリのために、再びシンガポールに戻ります。マレーシア入国時の審査機器の不具合か、入国記録が見つからないために、出国ゲートで呼び止められてしまった生徒が数人いましたが、大きな問題に発展することなく、シンガポールに再入国することができました。
午後6時にシンガポール動物園に到着。”Where else does showing up mean doing good?”と掲げられた入園ゲートを抜けると、動物たちが自由に生活している開放エリアに入ります。水場で眠っているワニ(インドガビアル)や、すべり台で遊んでいるコツメカワウソ、丸呑みされてしまいそうなモモイロペリカンを見てはしゃぎながら、ビュッフェ形式の夕食会場を目指します。
デザートにアイスがのったワッフルを食べ終えたら、7時20分のナイトサファリに合わせてトラムへ急ぎます。4人掛けのトラムに全員乗り込んだことを確認すると、夜の探索スタート!
「東京ディズニーランドのジャングルクルーズみたい!」と叫ぶ生徒がいましたが、確かに。テーマパークのアトラクションを思わせる雰囲気で、40分のナイトサファリを満喫しました。
トラムを降車してお土産をたくさん買ったところで、バスでホテルに戻りました。翌日(3日目)は、ほぼ丸一日自由行動となります。シンガポール市街地を歩き回る体力を充電するため、今夜もシャワーを浴びたらすぐ就寝することにします。
高校2年シンガポール・マレーシア研修旅行
引率教員一同