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高校1年「裁判所見学」

DATE : 2023/12/13

12月11日(月)と12日(火)の2日間、高校1年生は横浜地方裁判所を訪れて法廷見学・裁判傍聴を実施しました。

希望者のみを対象とした見学会ですが、全4回に分けたスケジュールの定員がいっぱいになるほど、司法に対する生徒の関心は高いようです。

公共の授業で裁判制度を勉強していたことに加え、事前学習会にて、傍聴する際のマナーを確認したうえで当日に臨みました。

イチョウ並木の横浜地裁正門に到着した生徒から順番に、所持品検査のゲートを通過していきます。来庁者の安全確保のために、2018年から金属探知機を用いているとのこと。空港の搭乗手続きのような厳重さに、生徒の間で緊張感が高まります。

第101号法廷に案内されると、裁判所職員によるガイダンスが始まりました。当日配付された『裁判所NAVI』を見ながら、「事件の発生」から「起訴」、「判決の宣告」まで、刑事裁判の流れを確認していきます。「事件についての陳述」に関するクイズを交えた説明を受けることで、授業や事前学習会の内容を整理することができました。

ガイダンスが終わると、傍聴席からバーを越えて、証言台に立ったり書記官席に座ったりして、文字通り法廷を「体験」しました。傍聴席からは見えにくかったモニターやタブレット、ビデオカメラの存在に気づき、用途について質問する場面もありました。ニュースでしか見たことがなかった法服を実際に着て裁判官席に座ることもでき、厳かな裁判所の空気が一瞬だけ和やかになりました。

しかし、実際に裁判が行われる法廷に入ると空気が一変。自分の呼吸音さえ気になるほどの静寂に包まれ、その厳格さに戸惑います。

裁判が始まると、『裁判所NAVI』を参照して検察官と弁護人のやりとりを確認しながら傍聴する生徒や、事件の内容や法廷の空気に圧倒されてメモを取ることもできなくなる生徒など、各自で受けとめ方は様々でした。

裁判所見学を終えた生徒たちの声:

●裁判というと、法律のプロフェッショナルが難しい言葉を使ってやりとりするものだと思っていましたが、特に法律に詳しくない高校生でもわかるような言葉でやりとりがされていて意外に感じました。

●検察官や弁護人による、質問で被告人から情報を引き出す技術、引き出した情報を整理する技術が印象に残りました。

●学校行事として裁判所見学に参加する機会は限られています。以前から法曹として働くことに興味を持っていましたが、今回の見学会をきっかけに、今後は個人的に裁判傍聴に訪れたいと思いました。

「これから専門の法律学の学習に向う皆様には、時として書物や講義の抽象的な法解釈の議論に圧倒されて、法が無味乾燥に映ることがあるかも知れません。そんな時、生きた法と法律家の働いている『法廷』の傍聴が、何よりの薬になると思います。」(市川正人・酒巻匡・山本和彦(2022)『現代の裁判[第8版]』有斐閣より)。

「薬」は十分に効いたようです。わずか半日の見学会でしたが、横浜地裁に入る前と後で、明らかに生徒の顔つきが変わっています。

期末考査も終わり、もうすぐ冬休みが始まります。今回の裁判所見学に参加した生徒たちは、冬休み中も自律的に学習に取り組むことができそうです。

「条文を暗記することと法律を勉強することはイコールではありません。当事者双方の言い分を理解するバランス感覚を養ってください。」という裁判官のメッセージが印象的でした。各教科の学習において、暗記が避けられないところはありますが、どうかその背後にある論理を理解し、社会とのつながりを意識しながら、これからも勉強に臨んでください。

高校1年学年会